愛の挨拶
ショパンが唯一残したチェロソナタが素晴らしい。その他の楽曲も、ドイツものフランスものといろいろありますが、メインのチェロソナタにうまくフィットしていてあまり違和感は感じませんでした。
まず、ショパンコンクール入賞の高橋多佳子さんがいいですね。決して新倉さんのチェロがくわれているわけではありませんが、さすがに存在感を感じさせるピアノの音色が随所で光ります。そういう意味でも、高橋多佳子さんと新倉瞳さんとのデュオアルバムといってもいいのではないでしょうか。チェロソナタには、ロストロボーヴィチ&アルゲリッチなどたくさんの名盤(こっちも大好きです)がありますが、私自身が日常的によく聴くのは、ゆったりとした気分になれるこのアルバムの方です。
残念なことが二つ。アルバムタイトルをなぜ『ショパン:チェロソナタ』にしなかったのでしょうか。また、アルバムデザインがピンクの花がいっぱいだったりして乙女チックなのは、内容にそぐわないように思えました。もう少し落ち着いたデザインにしてくれるとよかったのですが……。その方が売れると思うのですけどね。
心のチェロ~ハート・ウォーミング・チェロ・ベスト
ハートウォーミングというよりは哀愁とか情熱を感じる曲が多いです。オムニバスということでチェリストたちも今のEMI若手の中での実力者を選んだと言う雰囲気です。ピアソラの「天使のミロンガ」「オブリヴィオン」もチェロで聴くと一味違うという感じです。その中でも、「ヴォカリーズ」や「鳥の歌」は心を捉えます。
Love Love Love~クラシカル J-Ballads
ヒットしたお馴染みのJ-POPのバラード曲を、クラシック奏者が奏でるという企画です。凡庸な演奏者ならBGMのようなイージーリスニングに陥りますが、奏者の質の高さが奏でられる音楽の水準を極めて高いものにしています。このカヴァー集は関心を持つ人も少なく、あまり評判になっていないのが不思議ですが、音の艶やかさは絶品です。
チェロの新倉瞳は、自身のアルバムで注目された才色兼備の新進気鋭チェリストです。20代前半の若い感性が奏でる「LOVE LOVE LOVE」のメロディは歌っているかのごとく感情移入され、このように演奏してほしい欲求以上の表現で迫ってきます。
ピアノの小柳美奈子も多方面から評価されている奏者です。アレンジャーの一人であり、ピアニストの木戸俊輔のピアノ・ソロ「壊れかけのRADIO」「卒業写真」の深い悲しみをたたえる表現にひきこまれました。
美人ハーピストとして評判の高い彩愛玲も「オリビアを聴きながら」「ハナミズキ」で彩りに花を添えています。
ヴァイオリンの白井篤、森田昌弘、林智之などは、NHK交響楽団に所属しています。極上の弦楽四重奏団の演奏をリラックスして聴くかのような芳醇な味わいが漂っていました。「世界中の誰よりもきっと」でも原曲の持ち味を残しながら古典派の風合い漂うアレンジと相まって格調の高さが感じられる佳曲に仕上がっています。「クリスマスイブ」こそ、このアンサンブルによるアレンジがピタリとハマります。中間部のパッフェルベルのカノンは、本歌返しのように感じました。
結婚披露宴パーティのBGMには最高でしょうし、大切な人と過ごす一時にも最適でしょう。日常の疲れた心を癒す時にはそっと寄り添ってくれるように思います。






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